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所々に屋敷林や畑が残り、武蔵野の趣がある閑静な住宅地だが、東側道路の敷地は近接した住宅とアパートに三方を囲まれていた。
南側を庭にする案も当然考えられたが、隣家との間に挟まれた小さな庭では、アウトドア派の家族の愉しみを満たせないと感じたので、建物を西に配し、東側を道路の広がりまで取り込んだ開放的な外部空間にした。そこには雑木林のように木を植え、レンガで炉を手造りし、タープを張ったテラスにテーブルセットを据えて、お気に入りの場所として活用できるようになっている。庭に開いた上下階のスペースは、1階では居間と食堂になっていて、建具を引き込むと続き間のようにテラスと一体になり、大勢で集まれる。2階は子供たちの広間で、ピアノやパソコンのコーナー、小さな個室などに囲まれ、気配を感じながら思い思いの時間を過ごせるようになっている。外部に開いたもう一つの細いスペースは、1階では玄関とオープンな洗面で、2階は夫婦の寝室の前室のような通路となる。
これらの開いたスペースを挟むように、様々な収納や小部屋を納めた箱を配して暮らしをサポートし、すっきりと整頓できるようになっている。南北方向に見通すと、箱に穿たれた変化のある開口が重なって続き、外部への開放とは異なる奥行を小さな家にもたらしている。
床コンクリートに温水を通す「コンクリート蓄熱式温水床暖房」採用。
- 所在地
- 東京都武蔵野市吉祥寺
- 主要用途
- 住宅
- 住人構成
- 夫婦、子供2人
- 敷地面積
- 154m²
- 建築面積
- 61m²
- 延床面積
- 117m²(35T)
- 規模
- 地上2階